鄭州市にたどり着いたぼくらが最初に向かったのが、市内にある河南博物院だ。
かつて中原と呼ばれた河南省一帯は、古代中国史の中心地であり、数々の王朝が興亡を繰り返した土地だ。それ故に数々の文物が出土しており、当時の文化を今に伝えている。河南博物院はそれらを収蔵するために建てられた施設で、10万点を越える重要な資料を保管している。
伝統的建築と現代アートが融合したデザインの河南博物院
1999年に移転オープンしたまだ新しい建物は、伝統建築とモダンアートを融合させた洒落たデザイン。中国的というよりも、どこかマヤのピラミッドを思わせるような造形が興味深い。
館内に入ると、吹き抜けになったホールに2頭の象と人間のモニュメントが飾られている。石器時代、この地域には象が棲息していた。人はその巨象すら御したことを表わしているという。
そんな吹き抜けのホールを取り囲むようにして、時代ごとに分けられた展示室が設けられている。石器時代からスタートして、土器、青銅器と、徐々に文明レベルが上昇して行くのが感じられる。鄭州は商代の都があった場所であるせいか、ぼくの大好きな青銅器が豊富なのが嬉しい。
また漢字の原形といわれる甲骨文字も展示されており、教科書で習ったそれをこうして目の前にするのはある種の感動であった。授業の進め方にも問題はあったとは思うが、こんなにも面白く、興味深い歴史を学ぶチャンスだったのに、当時はさほど熱心に勉強しなかったのが悔やまれる。
歴史的背景をしっかり押さえたうえでこれらの出土品を見れば、また違った感慨もあっただろう。
面白かったのは石版に彫られた絵で、多くの人間が馬上で飛んだり跳ねたり、綱渡りのようなことをやっている。ガイド氏の話しによれば、これは当時の雑技の様子を描いたものだそうだ。人間の限界に挑む絶技の数々は、何千年もの歴史の中で磨かれ培われたものなのだなと思った。
その他にも人類の起源について書かれた伝説の石版や、遺体が腐敗しないといわれた玉で作った衣服など、興味深い展示が多数取り揃えられていた。残念ながら時間の都合で駆け足での参観となってしまったが、出来ることなら半日以上かけてじっくりと観てまわりたい場所である。
もし鄭州市を訪れることがあれば、この国の悠久の歴史と文化を垣間見ては如何であろうか。
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河南博物院
種別 博物館
住所 河南省鄭州市農業路8号 (農業路 x 経七路、交差点付近)
営業 9:00~18:00 (冬季は17:00まで)
電話 0371-3511237
交通 公交 経七路(32,39,42,61,69,96路)
入場 20元 / 学生・老人・軍人・団体には割引きあり
言語 中国語 / 英語(一部学芸員) / 無線端末による中・英・日語の自動ガイダンスあり(有料)
備考 鄭州市最大の見どころなので、出来るだけ多く時間を割きたい