華日倶楽部の食事会で知り合ったチョンマゲ@さんは、元力士という経歴の持ち主だ。
『気は優しくて力持ち』を地でいくような方で、人懐っこい笑顔には人を引きつける魅力がある。
そして、彼の庇護の下にいれば、災いから身を守ってくれそうな大きな包容力を感じる方だ。
彼の得意技のひとつに按摩があり、人体を知りつくしたツボ押しのテクニックはプロ顔負け。
わずかな情報から悪い部分を的確にいい当て、適切な刺激を送り込む技はすごいの一言で
ぜひ個人的にマッサージして貰いたいと、よからぬ妄想を抱かせてしまうテクニシャンなのだ。
そんなチョンマゲ@さんのもう一つの技が調理で、実はかなり名の知れた料理人でもある。
この度、虹橋地区にちゃんこ料理の専門店『相撲茶屋 照ノ谷』をオープンさせたと聞き
調理人としてもテクニシャンであることを確認すべく、さっそく訪問させて頂いた。
大阪でもちゃんこ屋にはちょくちょく顔を出したものだが、どこもステロタイプ的なものだった。
純和風の店内には櫓太鼓や相撲甚句が流れ、壁の相撲番付やいかにもな小物が並ぶ。
おそらくそんなお店だろうと思っていたのだが、よい意味で予想を裏切られて驚かされた。
およそちゃんこ屋とは思えないモダンテイストの店は、和の香りを残しつつも大胆な装飾で
聞けば女将がデザイナーと相談して、資材なども自分たちで集めてきたというから驚きだ。
料理人との対話が楽しいカウンターや、ゆとりの個室も用意され様々なシーンで利用できる。
何よりとびきりの笑顔で迎えてくれる親方を見るだけで、来て良かったと思えるから不思議だ。
これはもはや彼が持って生まれた人徳である、としか説明しようのないものではなかろうか。
付きだしに出されたブリ大根は少し濃いながら、しっかり味がしみており手放しで旨い。
付きだしが旨い店は他の料理も期待して大丈夫との定説通り、どれもこれも大満足だった。
相撲人らしく豪快な盛りつけとは裏腹に、その味はどれも繊細にして優雅で驚かされる。
とても大きな地鶏串焼きやつくねは旨味が凝縮され、妻も旨い旨いを連発しながら食らう。
数種類の味噌をブレンドして作った特製の胡麻味噌ちゃんこや、出し巻き卵など甘すぎると
感じさせる部分もあったが、この辺りは個人的な好みの領域なので難しいところだろう。
残念なのは造り盛についていたわさびで、なんとも薬臭いような嫌な味がするものであった。
上海で上質の本わさびを手に入れるのは、おそらくかなり困難なことではあると思うのだが
薬味も大切な構成要素である以上は、手を抜かずによいものを用意して欲しいと感じた。
それ以外に関しては大変満足であり、今後の発展が楽しみな店がまたひとつ増えたようだ。
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相撲茶屋 照ノ谷
住所 上海市長寧区虹梅路3717弄16号 真珠城1F (虹梅路 x 延安西路、交差点を南)
電話 13402180070
予算 コース料理 150RMB~ / ちゃんこ各種 78RMB~
言語 日本語 / 中国語
備考 8月末まで生ビール1杯め 8RMB(通常は18RMB)