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excite 支店 (shanghai55.exblog.jp )

ようやく念願叶って上海駐在員になれたしゅうの、上海での日々をまったりお伝えします。
by しゅう
 
さんまの歌
仕事中にふと、サンマの塩焼きを食べたくなった。

さっそくランチに出かけようと思ったのだが、会社近所の和食で思い当たるのはサガミくらい。果たしてサンマの塩焼きがあったかどうかも判らない。そこで向かったのは韓国料理店だ。焼き肉のイメージが強い韓国料理だが、サンマや真魚鰹などの焼き魚類も豊富に扱っているのだ。

2匹の秋刀魚(Photo by TASK_247HAPPY)
皿に並ぶサンマに嬉しくなる
サンマは2匹で35元。ランチの価格にはちと高いが、気にせずオーダーする。そわそわしながら待つこと15分、運ばれてきたサンマはよい色合いに焼けていた。大根おろしとぽん酢が欲しいところだが、韓国料理店でさすがにそこまでは望めないだろう。

それにしても身の薄いサンマだと思いながら、箸で突き崩して愕然とした。なんとはらわたが抜き去られており、お腹の中はぽっかりと空洞になっている。骨抜きならぬ、ワタ抜きなのである。

「さんま苦いか塩っぱいか」は、文学者佐藤春男の『さんまの歌』の一節。友人の妻に想いを抱いてしまった著者の心情を綴った、叙情的な詩である。この詩の苦いとは、もちろんワタのことだ。

鮮度のよいサンマのはらわたは、苦味とともに腹身の脂と相まって、得もいわれぬ旨味を持っている。かつて通はサンマの身を食べず、ワタだけを肴に酒を飲むのが粋だったという。上海のサンマに鮮度を求めるのは酷かもしれないが、それにしたってワタのないのにはがっかりである。

『さんまの歌』はこう続く。

そが上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食うはいずこの里のならひぞや。

さすがに涙までは出てこないが、抜き去り、打ち捨てられたワタを想い、悲しくなってしまった。
Blogger@上海(B@SH) "ランキング上位に上海を"-
by sangyuan | 2007-09-14 01:00 | 中国的生活
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