楽しい時間というものは、いつもあっという間に過ぎ去るものだ。
ひょんなことから我が家にホームステイすることになったDidiが、日本へ帰国することになった。
せっかく仲良くなったのに居なくなってしまうのは寂しいが、彼が帰る場所はここではないのだ。
ならばせめて、最後は盛大に見送って楽しい想い出を持って帰って貰おうと、送別会を催した。
宴の会場は、よしえさんの発案により北京ダックの二大チェーンのひとつである鴨王に決定した。
もうひとつの大手である全聚徳には何度も足を運んだが、鴨王はぼくも初めてなので楽しみだ。
湿っぽい別れはぼくらには似合わない。最後は飲んで騒いで、明るい笑顔で見送りたかった。
店舗やダックの個体差もあるが、少なくとも今回食べた鴨王のダックはなかなか旨かった。
脂が乗りカリカリとなった皮だけや、身を多く残した皮、さらには身だけなどを好みで取り分ける。
甘味噌を付けて白髪ネギといっしょに餅に包んで食せば、口中に旨味のエキスがほとばしった。
なんでも旨いというDidiは、ここでも感嘆の声をあげながら、初めて食らうダックを貪っていた。
いくつものビール瓶を空にし、旨い料理を腹いっぱいに詰め込みながら、宴の時間は過ぎていく。
楽しい時間はやっぱり飛ぶように過ぎ去り、振り返ってみればあっという間の2時間余りだった。
最後は店の小姐と手を繋ぎ、さも嬉しそうに写真に写ったあと、Didiは夜の街へと消えていった。
翌朝、お世話になったお礼はいつか必ずといい残して、Didiは日本へと帰っていった。
恩を仇で返されるのは勘弁したいが、そうでないのなら、ただ一言ありがとうの言葉だけでよい。
Didiと出会ってぼくらも楽しい時間を過ごせたのだし、お礼が欲しくてもてなしたわけじゃない。
それでは気持ちが収まらないというのであれば、どうかぼく以外の誰かに親切を与えて欲しい。
地元で出会う旅人への些細な親切だとか、身の回りで困っている人への小さな手助けでもよい。
そうすることで想いは巡り巡って、いろいろな人がほんわかした気分になればステキなことだ。
Didiとはいつか再会できると信じ、さよならはいわず「また来いよ」と告げて送り出したのだった。
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鴨王 烤鴨大酒店 静安店
住所 上海市静安区江寧路77号 (江寧路 x 奉賢路、梅龍鎮裏手)
営業 11:00~23:00
電話 021-6271-1717
予算 北京ダック 168RMB / 芥菜豆腐獅子頭 28RMB / 可楽山辣子鶏 18RMB ほか
交通 公交 陜西北路(20,37,148,921路)、江寧路(23,112,935路) ほか
言語 中国語 / 英語?
菜単 中国語 / 英語 / 日本語 / 写真あり
備考 民族衣装の小姐と2ショット撮影可