人気ブログランキング | 話題のタグを見る
excite 支店 (shanghai55.exblog.jp )

ようやく念願叶って上海駐在員になれたしゅうの、上海での日々をまったりお伝えします。
by しゅう
 
桃狩りと夏休みの風景 (陽山)
昔々、太湖のほとりにそびえる陽山の麓に、白頭と呼ばれる老人が住んでいた。

ある日、白頭老人は山歩きの途中に足を滑らせ、崖から転落して気を失ってしまった。
目を覚ますと二人の仙女が目の前におり、果樹から実を落としている現場を目撃する。

彼女たちがいうには、天界から零れ落ちた仙桃の種がこの地で水蜜桃の樹になったという。

若返りと不老長寿の効果がある水蜜桃を分けて貰った白頭は、本当に若返ることができた。
それを聞いた地主は、水蜜桃の樹を自分の庭に植え替えたのだが程なく枯れてしまった。

一方、白頭は食べた桃の種を蒔き、以来無錫では水蜜桃を栽培するようになったという。

陽山の水蜜桃:クリックで拡大 陽山の水蜜桃:クリックで拡大 陽山の水蜜桃:クリックで拡大

上記は無錫地方に伝わる昔話であり、陽山は中国でも屈指の水蜜桃の産地として有名だ。

陽山の水蜜桃は形が大きく、艶があり、香りもよく、皮が薄く、果汁が多く、とても甘いと聞く。
今がまさに最盛期だという無錫陽山の水蜜桃を味わうべく、一軒の桃農家を訪れたのだ。

いかにも肝っ玉かあさんといった風情の女主人に従い、生い茂る桃畑へと分け入っていく。

注意深く観察すると果樹の枝に、新聞紙に包まれたずっしり重い桃が鈴生りになっている。
傷つけないよう注意深くもぎ取れば、フワリと甘い蜜の香りが漂い、ゴクリと喉が鳴る。

炎天下で熱中症になりそうながらも、旨そうな桃を手に入れ農家へ揚々として引揚げた。

陽山の水蜜桃:クリックで拡大 陽山の水蜜桃:クリックで拡大 陽山の水蜜桃:クリックで拡大 陽山の水蜜桃:クリックで拡大

中国人が桃を喰うとき、日本人のようにわざわざ皮を剥くような真似はしない。

彼らにいわせれば剥くのが面倒なのと、皮の部分にも栄養が含まれているからだという。
郷に入っては郷に従えの言葉通り、ぼくも皮を剥かずにそのまま食らってみることにした。

陽山の桃は無農薬有機栽培なので、産毛を取るよう軽くこすり洗えばそのままでもOKだ。

思い切って皮の上からツプリと歯を立てれば、柔らかな果肉の中にズブズブと歯が埋まる。
えぐるように噛み取れば、典雅な甘味と僅かな酸味を残す果汁が口中に広がっていく。

たっぷりのジュースが喉を滑り落ちていく様は得もいわれぬ快感で、しばし恍惚となった。

土間に椅子を並べ、採ったばかりの桃やスイカを齧りながら、取り留めのないおしゃべり。
吹き抜けていく風には夏の香りが含まれ、親戚の家で過ごす夏休みのような気分だった。

このままここに留まって、夜は庭先で花火なんてのも楽しいかもしれないと思わせてくれた。
Blogger@上海(B@SH) "ランキング上位に上海を"-
by sangyuan | 2006-08-04 23:00 | 観光情報
<< 味感への挑戦状 (海金滋酒家) 無錫旅情 (太湖遊覧) >>


S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
関連リンク