色とりどりに並べられた料理を、好きなだけ取り分けて食べるバイキング形式。
帝国ホテル支配人の犬丸徹三氏が、北欧の伝統的なスモーガスボードに感銘を受け
『インペリアル・バイキング』というレストランを開いたのが、その起源だといわれている。
いわば食べ放題なわけだが、横文字の持つイメージも手伝い日本での代名詞となった。
友人知人が有り合わせの食料を持ち寄り、大勢で賞味するというスカンジナビア料理に
自由気まま、好きな料理を好きなだけ喰らう、バイキングの名を冠したセンスが凄い。
質より量が最優先だった学生時代には、このバイキング形式の店に大変世話になった。
かつての『インペリアル・バイキング』が持っていた、洒落た北欧料理のイメージはなく
無造作に並ぶ料理を皿からこぼれるほど盛り、どんぶり飯を貪るように喰らったあの頃。
店の雰囲気やサービスなどは二の次、いかに元を取り腹いっぱい喰うかが命題だった。
そんな当時の印象が強いのか、バイキングといえば質よりも量優先のイメージがあって
社会人になり幾許かの小金を持つようになってからは、利用する機会も少なくなった。
量優先だった若き日に比べて、ある程度の額を出してでも質を求めるようになったのだ。
人民広場を望むJWマリオットの万豪軒では、飲茶のオーダービュッフェを提供している。
かつて倉庫のように大きさだけが取り柄の店舗で、貪るように喰ったバイキングと違い
上質な空間で極上のサービスを受けながら、食べたいものを自由にオーダーできる。
そこにはかつての食べ放題が持っていた、粗野なイメージは微塵の欠け片もなかった。
正直な話、味に関しては極上とは呼びがたいものだったが、それを補うサービスがある。
一流ホテルならではの痒いところに手が届く心遣いと、その空間演出を堪能できたのだ。
味で大満足とはいかなかったが、それ以外で満足感を得られることもあると教えられた。
-------------------------------------------------
万豪軒
住所 上海市黄浦区南京西路399号 JWマリオット39F(南京西路 x 黄陂北路)
電話 021-5359-4969
予算 飲茶オーダービュッフェ 98RMB + サービス料 / 茶水 20RMB~
交通 地鉄2号 人民広場 徒歩5分 / 公交 成都北路(20,330,921路)ほか
言語 中国語 / 英語