ポートマン・リッツカールトンのある上海商城周辺は、異国の香りに満ち溢れている。
目の前を横切る南京西路には、海外資本のブティックや有名ブランドの店舗が林立し
上海商城に入ればスタバやCITY SHOPなど、欧米人をターゲットにした店が並ぶ。
カフェの中では中国語以外の言葉が飛び交い、メニューすらも英語表記なのだ。
ここでは中国人の店員ですら、見るからにアジア系であるぼくに向かって「Hello!」と
声をかけるものだから、自分が今どこの国にいるのか判らなくなってしまいそうだ。
彼らは同じ中国人の客に対しても、同じように英語で話しかけているのだろうか?
そんな、どこの国だか判らなくなりそうな上海商城内にある、通称 CPK を訪ねた。
アメリカのピザ・レストランチェーン大手が、上海にも出店していたとは驚きだが
調べてみたところ、中国だけでなく東南アジア各所に版図を広げているようだ。
店内はチープなお洒落さが漂っており、いかにも米国系のファミレスといった雰囲気。
中途半端な時間帯なので客入りはまばらながら、オープンキッチン内は活気があり
中国人スタッフたちも、緩慢な動作を見せることなく立ち働いており好感が持てた。
ティータイムのつもりだったが、リングイネのカルボナーラを見つけて思わず注文。
日本では行きつけのイタリアンが、同じようにリングイネのカルボナーラを喰わせるが
あのモチモチとした食感と、卵黄とチーズによる濃厚なソースの組み合わせは堪らない。
果たしてぼくの期待に応えてくれるかは判らないが、試してみる価値はありそうだった。
やがて湯気とともに運ばれてきたのは、生クリームをたっぷり使ったタイプのソース。
南イタリアでは生クリームや牛乳は滅多に使わないが、これはこれでありだと思う。
幅広のパスタにたっぷりソースをからませて、フォークを使って恐る恐る口へと運ぶ。
生クリームと卵黄、チーズが産み出す濃厚なコクはいったん意識の外へ追いやりながら
ゆっくりとパスタに歯を立て、モッチリとした食感の中心部に意識を集中していく。
髪の毛よりさらに細くわずかに残った芯が微かな抵抗を示したのち、ぶっつりと切れる。
中国へ来てから何度も、茹で過ぎてフニャフニャとなったパスタを喰わされてきたが
ここはなかなかの茹で加減であり、及第点をあげてもよいと思える出来だった。
ここからは時間との勝負で、機械じみた手付きで黙々とパスタをまとめ口へと運ぶ。
ぼくが思うに、パスタが本当に美味しいのは完成から3分間だけのごくわずかな時間。
これを過ぎてしまえば、崖を転がり落ちるかのように急速に、その味は落ちていく。
濃厚なソースで口の中にヤケドを作りながらも、自分が課した制限時間内に完食した。
ソースにはまだまだ改善の余地があったが、ここ上海でアルデンテを出すのは嬉しい。
ピザもなかなか旨いそうなので、次回は他のパスタとあわせて試してみたいと思う。
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california PIZZA KITCHEN
住所 上海市静安区南京西路1376号 上海商城 西109室 (上海展覧中心対面)
電話 021-6279-8032
交通 地鉄2号 静安寺 徒歩10分 / 公交 陜西北路(20,24,37,304,921路)徒歩5分
言語 中国語 / 英語
網址
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