蘇州を訪れたらぜひ見ておきたいのが、山塘街にほど近い虎丘と呼ばれる場所。
かつて宋代の詩人の蘇東が「蘇州に遊びて虎丘に遊ばずんば憾事也」と歌ったそうで
太古から観光地として有名だったとは、この国の歴史の深さを思い知らされます。
虎丘は春秋時代、呉の闔閭王(在位 BC515-496)の墓址だと伝えられています。
じつに2,500年近い歴史を持っていることになりますから、スケールが違いますね。
名前の由来は、この丘がうずくまる虎の形に見えるからというストレートなもの。
別の一説によれば、呉王闔閭の葬儀3日目に真っ白な虎が現われ、塚の上に臥して
王の墓を守護したからとも伝えられており、こちらのほうがロマンがありますね。
これ以外にも剣が大好きだった闔閭のために3千本もの宝剣が副葬されているとか
王の墓所を秘密にするため、工事に関わった職人はすべて殺害されたなどの伝説も。
どこまでホントか判りませんが、秦の始皇帝は伝説を真に受けて掘ってみたそうです。
残念ながら何もでなかったみたいですが、果たして真相はどうなっているのでしょう。
こういう歴史上の伝説は、伝説のままにしておいたほうがいいのかもしれませんね。
入場料は60元となかなか高額で、ほんの5~6年前までは20元程度だったそうなので
値上げするにしても程がありますが、それだけ観光客が多いのでしょうね。
門をくぐると小高い丘の上に古い塔がそびえ立ち、これからの行程を期待させます。
敷地内にもお堀のように運河があり、可愛らしい小舟で遊覧することも可能ですが
残念ながら帰りの列車の時間が迫っているので、後ろ髪引かれながらもスルー。
試剣石、千人石なども見所らしいものも、これらも簡単に眺めるだけで通過しました。
丘の途中にある剣池は闔閭王の墓だといわれる場所で、深閑とした神秘的なイメージ。
切り立った石壁に挟まれた空間には蔦が這い、なみなみと水が湛えられています。
もともとは池ではなかったのですが、宝探しのために掘った穴に水が溜まったんだとか。
こんこんと湧き出す水は涸れることがなく、もしもこの池が干上がることがあれば
それは蘇州が滅び去るときであるとの言い伝えが、今も残されているそうです。
そこからもう少し登ると、虎丘いちばんの見所である山頂の雲岩寺塔(虎丘塔)です。
創建は961年(北宋)でレンガ造りの八角形の七重塔で、まるで呪われているかのように
7度も火災にあっており、現存しているものは清代に入ってから作られたものです。
約400年ほど前より地盤沈下のため傾いており、中国版ピサの斜塔とも呼ばれています。
基礎部分の補強工事により傾斜は止まっていますが、今でも約15度に傾いており
そのうち倒壊するのではないかとの危惧を、見るものに植えつけてくれました。
この塔がすごくよい雰囲気で、建築的には中国というよりカンボジアの遺跡のよう。
以前は実際に登ってみることもできたようですが、現在は主に安全上の理由から
内部は立ち入り禁止となっており、外観を見上げるだけに留まりました。
見所満載の虎丘でしたが時間の関係で駆け足観光、ぜひまた訪れたい場所ですね。
-------------------------------------------------
虎丘
蘇州市虎丘山門内8号
営業 8:00~17:00 (入場券販売は16:30まで)
交通 5番バス 虎丘駅下車
入場 60RMB (オフシーズンは40RMB)