浙江料理は中国八大料理のひとつに数えられ、杭州、寧波、紹興の三地方料理に細分される。
その中でも杭州料理は代表格で、歴史ある杭州の地で培われた技法と食材を駆使したものだ。
さっぱりとした上品な味付けと、その美しい盛り付けは、国内外を含めて多くのファンを持つ。
先日杭州を旅したときも、本場で食べる杭州料理は、西湖の風景と同じくらい楽しみであった。
観光地の美しい風景や、歴史ある建築は、テレビ画面や写真を通して楽しむこともできるだろう。
だが、土地の食材と技法を凝らした郷土料理は、やはりその地方に出向き食べるべきなのだ。
そう思えば旅のいちばんの楽しみは食べることにあり、という理論はやや飛躍し過ぎであろうか。
杭州は長い歴史と文化を持つ土地だけあって、故事や伝説にちなんだ料理も数多い。
たとえば乞食鶏(叫化童鶏)は、喰うものに困ったひとりの男が鶏を盗んで追われていたとき
追跡の目をかわすために蓮の葉で包んだ鶏を埋め、その上でたき火をして追手を誤魔化した。
あとで掘り返して食べてみたところ、たいそう旨かったことから調理法として確立されたという。
泥塊を木槌で割ると、中から蓮で包んだ丸のままの鶏が姿を表わすという工夫がとても楽しい。
見た目はややグロテスクであるが、蒸し焼きされた鶏は旨味が凝縮しておりなかなかの美味だ。
日本でも有名な東坡肉は、詩人の蘇東坡氏が農民たちに振る舞ったからなどの由来も面白い。
これらの伝統料理は150年の歴史を誇る楼外楼をはじめ、市内の多くの店で食すことができる。
また伝統を踏襲しながらも、他の地方や外国の料理の長所を取り入れた新杭州料理も増えた。
昔ながらの技法を守りつつ常に進化する杭州派料理は、中国新八大料理にも名を連ねている。
本格的料理以外にも、街を歩けばさまざまな小吃が見られ、歴史の街はまた食の都でもあった。
特に河坊街の外れにある小吃通りは、上海では見たこともないような小吃の数々が心躍らせる。
多くの観光客らが思い思いの小吃を喰いながら浮かべる満面の笑みが、とても印象的であった。
上海から汽車で約2時間、この週末は旨いものを食べにこの美食天地を訪れてみては如何か。
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楼外楼
住所 杭州市孤山路30号
電話 0571-8796-9023
言語 中国語 / 英語
菜単 中国語 / 英語 / 日本語 / 写真あり(一部)
備考 予約必須
網址
http://www.louwailou.com.cn/